地平線の彼方へ
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魔法使いサラバント
魔法使いサラバント

昔あるところに 恋人を亡くしたひとりの魔法使いがいた
彼が求めたのは 死者を甦らせる禁断の秘法
領分を侵す者に降りかかるのは 厄災のみと識りながら
何故人は求めるのか? 人智を超えた魔神の力を…

吹き荒ぶ風は砂を巻き上げて
若い旅人の行く手を阻む
旅の道連れは一頭の駱駝
砂丘を乗り越えて街へと向かう…

「魔法のランプが欲しくはないか?」
胡散臭い髭の男が囁いた
薄暗い路地裏での駆け引き
彼は男が持ち出した条件を飲んだ…

ランプを擦ると魔神が現れ 3つの願いを叶えてくれると言う
願い事を1つ譲るという条件で 彼はその在処を聞き出した
そのランプは 南西にある洞窟に封印されているという
片足が悪いという男の代わりに 彼は穴の中へと降りた…

砂漠の下には 大きな空洞
冷たい空気が 背筋を掠める
洞窟の奥には 怪しい祭壇
黄金のランプと 古びた絨毯
ランプを手に取ると 洞窟が崩れた
「ランプを早くこっちへよこせ!」 男が叫んだ…

『忘れ物はありませんか…?』

暗い闇の中 懐かしい声を聴く
暖かな光 愛しい声を聴く

「貴方はまだこっちへ来てはいけないわ
遣り残したことがきっとあるはず…」

暗い闇の中 懐かしい声が言う
暖かな光 愛しい声が言う

「失われたモノの為に願うより
今目の前にあるモノを見つめて…」

目醒めれば砂が巻き上がる 砂丘の上で抱かれていた
黒髪の美しい少女 泣きながら微笑んでいた

「古の罪と罰の輪舞曲(Rondo) ランプに閉じこめられていた
愚かな私を出してくれた御主人様(Master)
さぁ願いをどうぞ 叶えましょう」

3つの願い全て叶えたら少女は再び
唯冷たい砂の下で幾千の孤独に震える…

そして彼は願った…

吹き荒ぶ風は砂を巻き上げて
若い旅人の行く手を阻む
旅の道連れは二頭の駱駝
長い黒髪の少女が一人…
雷神の系譜
雷神の系譜

世界を救いし隻腕の英雄亡き後
邪神が封印されし地に街を築き
自らが結界の役割を果たし
永き平和への礎と成す...

誇り高き右腕に刻まれし雷の紋章(証)
彼の者達の名は 雷神の民
伝承の謎 紋章の秘密
少年が描く軌跡 雷神の系譜

弱い者ほど徒党を組み
身代わりの羊を捜す
愛を知らない幼き日々は
灼けた石の痛み

ひとり唇噤んだまま
膝を抱えて耐えていた
雨も宿ればいづれ過ぎ去る
嵐もまた然り

されど輝かざる紋章(印)
本当の強さってなんだろう?
差し出された少女の小さな手が
とても大きく見えた…

黙したまま何も語らぬ歴史の手の平の上で
出会ってしまった少年と少女の物語
十年の歳月も一閃の雷が如く
過ぎ去ってしまえば刹那
今...黒の歴史が再び動き出そうとしている…

遠い空見上げて この胸を焦がす
浮かぶのは彼女の 愛らしい笑顔だけ
適わぬ想いと 識っていながら…

麗しの君は何故 一族の長の娘
部族一強き者の許へ
嫁ぐこと定めしは 変えられぬ民の掟

嗚呼...雷無きこの腕じゃ 君のこと護れない?
想いなら誰にも負けないと
叫んでもその言葉 虚しくも風に消えた…

期は満ちようとしていた 長の娘も今年で婚礼を定められし齢十六
その誕生の日が差し迫り 一族の猛者達は競って名乗りを上げた
期は満ちようとしていた 邪悪なる波動が街全体を包み込み
空に立ち込めたる暗雲は <三度目の嵐>の訪れを告げようとしていた…

「おぉ...何ということじゃ(どうなされました?おばば様) 
黒き法衣を纏いし者達の影が見える
予言書の死と 奴らを封印の深奥へ行かせてはならん
邪神の封印を解こうとしておるのじゃ
いまや雷神様の血も薄れ 我らに扱えるは小さき雷のみ
あぁ恐ろしいや 天地を揺るがす強大な力じゃ 来るぞ...あぁ来るぞ…」

地を割る咆哮 天を裂く爪牙 烈火の如く燃えさかる六対の翼
暗黒を宿した瞳に魅入られただけで 勇猛なる戦士が次々と倒れていった…

嗚呼...人間は神の前では かくも無力なモノなのだろうか...
誰もが深い絶望に呑まれかけていたその瞬間
ひと際眩い閃光が雷(力)無き青年の体を貫いた…

「覚醒めよ...勇敢なる右腕を持つ者よ...
直系の雷を受け継ぎし者よ...
かつて私は邪神を封印せし折 雷の槍を放ったが故右腕を失った
今その雷を解放すれば 右腕はおろか全身が吹き飛ぶやも知れぬ
御主にその覚悟があるか?
…ならば今こそ覚醒めよ<雷神の右腕>よ!」

「ひとりでは耐え切れぬ 雷でもきっと
ふたりなら大丈夫 私は信じる!」

暗雲を貫く雷 あの日であった少年と少女は
今...二つの紋章重ね合わせて 輝ける未来を紡ぐ…

「…ちゃん...ねぇ...お婆ちゃん...お婆ちゃんったらぁ」
「どうしたの?それからお話どうなったの?」
「おぉ...そうだったねぇ ごめんよ」
「その後 雷神様が邪神をやっつけたんだよね?ね?」
「さてどうだったかねぇ...
昔の話だからもう忘れちゃったねぇ…」
「えぇー、そんなのずるいや!」

...そう言って微笑んだ祖母の瞳は とても優しい色をしていた
...その時の事は今でも印象深く覚えている
...私は信じているのだ 雷神の系譜は途絶えていないのだと…

受け継がれるモノ...受け継がれざるモノ...
暗雲を貫く光を翼に受け...その白鴉は羽ばたいて往く…
檻の中の花
檻の中の花

殺戮の舞台女優 『Michèl Malebranche』
彼女が犯罪史の表舞台に登場すること三度に渡り、
その短い生涯に於いては多くの奇怪な謎が残されたまま、
未だ完全には解明されていないのである。

(初舞台 「パパの幸せを描いてあげる…」 on 21 novermbre 1887)

実父 『Joseph Malebranche』 の凄惨な変死事件

証拠不十分及び、年齢に対する
殺害遂行能力に疑問の声が上がる。
現実と幻想の境界を認識出来ていない
類いの言動を繰り返し、
行動にも尋常ならざる点が多々見受けられた…。

(識られざる幕間劇)

鮮朱から冷蒼へ(De rouge vif au bleu froid)移り変わる 舞台の上に女優(Actrice)を呼ぶ
街角の影(Silhouette)手招くのは 闇(Tenebres)を纏った貴婦人(Dame noble)

素早く抱き寄せ 首筋に熱い接吻(Baiser)

少年(Garcon)の液体(Sang)は仄甘く 血赤色(Rouge)の陶酔感(ユメ)を紡ぎ
永遠の夜(Nuit)に囚われた 花(Fleur)は咲き続ける…

(二度目の舞台 「もう一度この手で彼女を…」 on 30 Juillet 1895)

養父 『Armand Ollivier』 の手による絞殺・死体遺棄未遂事件
深夜、半狂乱で笑いながら庭に穴を掘っている所を、
近隣住民の通報によって駆けつけた警察官に拠り逮捕。
その後、 『Ollivier』 は獄中にて完全に発狂した…。

(識られざる幕間劇)

鮮朱から冷蒼へ(De rouge vif au bleu froid)移り変わる 舞台の上に女優(Actrice)を呼ぶ
街角の影(Silhouette)佇むのは 闇(Tenebres)を纏った令嬢(Mademoiselle)

激しく愛して 花弁(Les petales)が堕ちるまで

女(Michèle)の勘を甘く見ないで 貴方(Monsieu)が愛してるのは
しなやかな若い肢体(Jeunesse corps) それは... 『私』(Bobo)じゃない…

(三度目の舞台 「少年の液体は仄甘く」 en 4 fevrier 1903)

『Michèl Malebranche』 による青少年連続拉致殺害事件
『Rouen』 郊外の廃屋にて多数の腐乱死体が発見される。
当時行方不明となっていた13人の少年達は、変わり果てた姿で
干乾びたような老婆 『Michèl』 の遺体に折り重なっていた…。

(自称...天才犯罪心理学者
『M. Christophe Jean-Jacques Saint-Laurent』 曰く)

「彼女がどんな魔法を駆使したのか、
それ私の識り及ぶ所ではないのだが、
殺害動機という観点でのみ論じるならば、
答えは明白であると言わざるを得ない」

「彼女は、自らを閉じ込める狭い檻の中から
抜け出したかったのでしょうな…
それも極めて偏執的なまでに。
...しかし、残念ながら
その願望は生涯叶うことは無かった。
...そして、死後1世紀を経過した今でも、
彼女はその檻の中にいる…」

「…何故そんなことが断言出来るのか?...良い質問だ。
よろしい、誤解を招くことを承知で、
この 『Christophe Jean-Jacques Saint-Laurent』
あえてここで公言しておこう。
我々もまた、彼女と同じ檻の中にいるからだと…」

( 『Michel Malebranche』 の手記に遺されていた詩の断片)

檻(Cage)の中で咲き乱れ 枯れ朽ち果てる前に
愛(Amour)を失くしたこの世界に… 捧ぐ...お別れの挨拶(Au revoir)

 ~ 連作幻想戯曲 『檻の中の花』  (著) Noel Malebranche
Yield
Yield

一人娘はせっせと種を蒔く
変わらぬ過去に 訪れぬ未来に

不毛な行為と君は笑うだろうか?
それなら君は 幸せなんだろうね…

根雪の下で春を待つの 夏が過ぎれば実りの秋ね…

豊穣...収穫...それは果実を産む
(harvest harvest it yields fruits)
最も遅い収穫...それは甘い果実を産む
(la la, latest harvest it yields sweets)

一夜限りの情事(ユメ)でも構わない
それをも女は 永遠に出来るから

不毛な恋と君は笑うだろうか?
やっぱり君は 幸せなんだろうね…

凍える夜は夢を見るの 夏が過ぎれば想いが実る

豊穣...収穫...それは果実を産む
(harvest harvest it yields fruits)
最も遅い収穫...それは甘い果実を産む
(la la, latest harvest it yields sweets)

『3』...不安定な数字『3-1』...模範的な数式
問題となるのは個の性質ではなく 唯記号としての数量
世界が安定を求める以上 早くどれか一つを引かなければ…

何故人間は恋をする
相応しい季節に出会えないの?
嗚呼...お父さん(Dad)お母さん(Mam)
「それでも私は幸せになりたいのです…」

恋心 甘い果実 真っ赤な果実
(Sweets, lala Sweets, lala 真っ赤なFruits)
もぎ獲れないなら 刈り取れば良いと…
恋心 甘い果実 真っ赤な果実
(Sweets, lala Sweets, lala 真っ赤なFruits)
嗚呼...でもそれは首じゃないか…

二人の女 一人の男 一番不幸なのは誰?
落ちた果実 転がる音 余剰な数字 引かれる音
『3-1+1-2』...最後に現れたのは仮面の男
彼らが消え去った後 荒野に一人取り残されるのは誰?
エルの楽園[→side:E→]
エルの楽園[→side:E→]

『私は…生涯彼女を愛することはないだろう…
しかし…彼女という存在は…私にとって特別な意味を孕むだろう…
何故なら…生まれてくる娘の名は…遠い昔にもう決めてあるのだから…』

――そして...幾度目かの楽園の扉が開かれる…

(Elysion, who ah... Elysion, who ah...)

白い大地に 緋い雫で 描かれた軌跡 罪の道標
古びた金貨 握り締めたまま 這い擦りながらも 男は笑った

廻るように 浮かんでくる 愛しい笑顔 すぐ其処に
夢幻の果てに 手を伸ばす様に 扉に手を掛けた

――そして...彼の現実は朽ち果てる……
(Come Down to the Elysion)

少女が小さく 咳をする度 胸の痛みが 春を遠ざける
襤褸い毛布でも 夢は見られる 愛を知った日の 温もり忘れない

眠るように 沈んでゆく 愛しい世界 水底に
夢幻の果てが 手を招く様に 扉は開かれた

――そして...彼女の現実は砕け散る……
(Come Down to the Elysion)

ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではどんな花が咲くの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではどんな鳥が歌うの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園では体はもう痛くないの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?

(ねぇ...お父様(パパ)...)

窓を叩く夜風 弾む吐息 薄暗い部屋 楽しそうな談笑
虚ろな月明かり 白い吐息 薄汚い部屋 痩せた膝の少女

幾度となく繰り返される問いかけ 尽きることのない『楽園』への興味
嗚呼...少女にはもう見えていないのだ 傍らに横たわるその屍体が…

『ねえ、お父様(パパ)』
『なんだい、エル?』
『明日はなんの日か知ってる?』
『世界で一番可愛い女の子の誕生日』
『ふふ…私ね、お誕生日プレゼントは絵本がいいと思うわ…』

(Cross Door)...男の夢想は残酷な現実となり (Cross Talk)...少女の現実は幽幻な夢想となる
(Cross Door)...男の楽園は永遠の奈落となり (Cross Talk)...少女の奈落は束の間の楽園となる

...お父様(パパ)―― その楽園ではどんな恋が咲くの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではどんな愛を歌うの?
...お父様(パパ)―― その楽園では心はもう痛くないの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?

ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではどんな花が咲くの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではどんな鳥が歌うの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園では体はもう痛くないの?
ねぇ...お父様(パパ) その楽園ではずっと一緒にいられるの?

(ねぇ...お父様(パパ)...)

(Elysion, who ah...Elysion, who ah...)
(Elysion, who ah...Elysion, who ah...)
Ark
Ark

『彼女こそ…私のエリスなのだろうか…』

「―――箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(器官)に手を加えて
驕れる無能な創造神(神)にでも 成った心算なの…」

...Love wishing to the “Ark”

(崩壊 其れは孕み続けた季節 二月の雪の日 『妹』(Soror)の記憶)

「我々を楽園へ導ける箱舟は 哀れなる魂を大地から解き放つ
救いを求める貴女にArkを与えよう」
≪Arkと呼ばれた物≫(それ)は月光を受けて銀色に煌いた…

想い出まで裏切った 冷たい言葉の雨
幸せだった二人 永遠に届かなくなる前に…

「ねぇ...何故変わってしまったの? あんなにも愛し合っていたのに…」
涙を微笑みに換え詰め寄る ≪Arkと呼ばれた物≫(Knife) を握って…

―――愛憎の箱舟(Ark)

『さぁ、楽園へ還りましょう?お兄様…』

(因果 其れは手繰り寄せた糸 六月の雨の日 『兄』(Frater)の記憶)

信じてたその人に裏切られた少女
逃げ込んだ楽園は信仰という狂気
新しい世界へと羽ばたける自己暗示
澄み渡る覚醒は進行という凶器

最期の瞬間に廻った 歪な愛の記憶
脆弱な精神(ココロ)が堪えきれず あの日嘘を吐いた…

律すれば律する程落ちる 赦されぬ想いに灼かれながら
まぐわう傷は深く甘く 破滅へ誘う…

―――背徳の箱舟(Ark)

『さぁ、楽園へ還りましょう?お兄様…』

被験体#1096 通称 『妹』(Soror) 同じく
被験体#1076 通称 『兄』(Frater)を殺害

(Soror with the "Ark", Frater in the Dark)

<症例番号(Case Number)12>
過剰投影型依存における袋小路の構型(Model)
即ち ≪虚妄型箱舟依存症候群≫ (Ark)

(Soror with the "Ark", Frater it's Dead)

限りなく同一に近づける 追憶は狂気にも似た幻想
求める儘に唇を奪い合い 少しずつ楽園を追われてゆく
同じ心的外傷(トラウマ)重ねれば響き合う けれどそれ以上には…

「―――箱庭を騙る檻の中で 禁断の海馬(器官)に手を加えて
驕れる無能な創造神にでも成った心算なの?」 か...

在りし日に咲かせた花弁は 暗闇に散り逝くように凛と
少女の声色で囁く 「楽園へ還りましょう」...

...Love wishing to the “Ark”

監視卿(Watcher)は天を仰ぎ深い溜息を吐く
失った筈の 『左手の薬指』(場所) が虚しく疼いた

―――ふと彼が監視鏡(Moniter)の向こうへ視線を戻すと
嗚呼...いつの間にか少女の背後には『仮面の男』が立っていた―――
エルの絵本【魔女とラフレンツェ】
エルの絵本【魔女とラフレンツェ】

如何にして楽園の扉は開かれたのか…

鬱蒼と茂る暗緑の樹々 不気味な鳥の鳴き声
ある人里離れた森に その赤ん坊は捨てられていた

幸か...不幸か...人目を憚るように捨てられていたその子を拾ったのは
王国を追われた隻眼の魔女 ≪深紅の魔女と謳われた≫(Crimsonの)オルドローズ

銀色の髪に 緋色の瞳 雪のように白い肌
拾われた赤ん坊は いつしか背筋が凍る程美しい娘へと育った...

流転こそ万物の基本 流れる以上時もまた然り
二つの楽園を巡る物語は 人知れず幕を開ける...

〔くやしい…出してくれ…助けてくれ…〕

『ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…』

銀色の髪を風になびかせて 祈るラフレンツェ 死者の為に...
小さな唇が奏でる鎮魂歌(Requiem) 歌えラフレンツェ 永遠(とわ)に響け...

時を喰らう大蛇(Serpens) 灼けた鎖の追走曲(Canon)
狂い咲いた曼珠沙華(Lycoris) 還れない楽園(Elysion)
蝋燭が消えれば 渡れない川がある
始まりも忘れて 終わらない虚空を抱く……

〔Creature's voice(=亡者どもの声)〕
「──オノレラフレンツェ」...悲痛な叫びの不響和音(Harmony)
〔Un-satisfied(=尽きせぬ渇望)〕
「──ニクキラフレンツェ」...呪怨の焔は燃ゆる

儚い幻想と知りながら 生者は彼岸に楽園を求め
死者もまた 還れざる彼岸に楽園を求める
彼らを別つ流れ 深く冷たい冥府の川
乙女の流す涙は 永遠に尽きることなく
唯...嘆きの川の水嵩を増すばかり...

──少女を悪夢から呼び醒ます 美しき竪琴の調べ
哀しい瞳をした弾き手 麗しきその青年の名は……

『ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…
お前は冥府に巣喰う亡者どもの手から
この世界を守る為の最後の黄泉の番人
純潔の結界を 破らせてはいけないよ…』

祖母が居なくなって 唇を閉ざした
吹き抜ける風 寂しさ孤独と知った
彼が訪れて 唇を開いた
嬉しくなって 誓いも忘れていった...

──それは
手と手が触れ合った 瞬間の魔法
高鳴る鼓動 小さな銀鈴(Bell)を鳴らす
瞳と瞳見つめ合った 瞬間の魔法
禁断の焔 少女は恋を知った...

一つ奪えば十が欲しくなり 十を奪えば百が欲しくなる
その焔は彼の全てを 灼き尽くすまで消えはしない…

『ラフレンツェや…忘れてはいけないよ…』

愛欲に咽ぶラフレンツェ 純潔の花を散らして
愛憎も知らぬラフレンツェ 漆黒の焔を抱いて
彼は手探りで闇に繋がれた 獣の檻を外して
少女の胎内(なか)に繋がれた 冥府の底へ堕りてゆく……

──近づいてくる足音
やがて彼(Orpheus)が乙女(Eurydice)の手を引いて 暗闇の階段を駆け上がって来る
けれど少女は裏切りの代償として 残酷な呪いを歌った
嗚呼...もう直ぐ彼は...彼は振り返ってしまうだろう──

魔女がラフレンツェを生んだのか…ラフレンツェが魔女を生んだのか…
物語はページの外側に…

斯くして…楽園の扉は開かれた…
Baroque
Baroque

『彼女こそ…私のエリスなのだろうか…』

主よ、私は人間を殺めました。
私は、この手で大切な女性を殺めました。

思えば私は、幼い時分より酷く臆病な性格でした。
他人というものが、私には何だかとても恐ろしく思えたのです。

私が認識している世界と、他人が認識している世界。
私が感じている感覚と、他人が感じている感覚。

『違う』ということは、私にとって耐え難い恐怖でした。
それがいづれ『拒絶』に繋がるということを、無意識の内に知っていたからです。

楽しそうな会話の輪にさえ、加わることは恐ろしく思えました。
私には判らなかったのです、他人に合わせる為の笑い方が。

いっそ空気になれたら素敵なのにと、いつも口を閉ざしていました。
そんな私に初めて声を掛けてくれたのが、彼女だったのです。

美しい少女(ひと)でした、優しい少女(ひと)でした。
月のように柔らかな微笑みが、印象的な少女(ひと)でした。

最初こそ途惑いはしましたが、私はすぐに彼女が好きになりました。
私は彼女との長い交わりの中から、多くを学びました。

『違う』ということは『個性』であり、『他人』という存在を『認める』ということ。
大切なのは『同一であること』ではなく、お互いを『理解し合うこと』なのだと。

しかし、ある一点において、私と彼女は『違い過ぎて』いたのです。

狂おしい愛欲の焔が、身を灼く苦しみを知りました。
もう自分ではどうする事も出来ない程、私は『彼女を愛してしまっていた』のです。

私は勇気を振り絞り、想いの全てを告白しました。
しかし、私の想いは彼女に『拒絶』されてしましました。
その時の彼女の言葉は、とても哀しいものでした。
その決定的な『違い』は、到底『解り合えない』と知りました。

そこから先の記憶は、不思議と客観的なものでした。
泣きながら逃げてゆく彼女を、私が追い駆けていました。
縺れ合うように石畳を転がる、《性的倒錯性歪曲(Baroque)》の乙女達。
愛を呪いながら、石段を転がり落ちてゆきました……。

この歪な心は、この歪な貝殻は、
私の紅い真珠は歪んでいるのでしょうか?

誰も赦しが欲しくて告白している訳ではないのです。
この罪こそが、私と彼女を繋ぐ絆なのですから。
この罪だけは、神にさえも赦させはしない……。

『ならば、私が赦そう…』

──激しい雷鳴 浮かび上がる人影
〔Baroque Vierge, Baroque zi le fine…〕
いつの間にか祭壇の奥には『仮面の男』が立っていた──
〔(Baroque Vierge, Baroque zile fine…〕


※Baroque Vierge, Baroque zile fine…=歪んだ真珠の乙女、歪なる日に死す…
エルの肖像
エルの肖像

白い結晶の宝石は 風を纏って踊る
樹氷の円舞曲 遠く朽ちた楽園

黒い瞳孔(め)の少年は 風を掃って通る
樹氷の並木道 深い森の廃屋

少年が見つけた 少女の肖像画
『彼』は病的に白い 『彼女』に恋をしてしまった...

幼い筆跡の署名(Sign) 妙に歪な題名(Title)は
【最愛の娘エリスの八つの誕生日に...】

退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance)
痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ
第四の地平線─―その楽園の名は『ELYSION』

──そして...幾度目かの楽園の扉が開かれる……

やがて少年は彼の≪理想≫(idea"L")を求めるだろう...
やがて少年は彼の≪鍵穴≫(keyho"L"e)を見つけるだろう...
やがて少年は彼の≪楽園≫(e"L"ysion)を求めるだろう...
やがて少年は彼の≪少女≫(gir"L")を見つけるだろう...

娘もまた母になり 娘を産むのならば
楽園を失った原罪を 永遠に繰り返す……

始まりの扉と 終わりの扉の狭間で
惹かれ合う『E』(EL)と『A』(ABYSS)──愛憎の肖像

禁断に手を染め 幾度も恋に堕ちてゆく
求め合う『E』(EVA)と『A』(ADAM)──愛憎の肖像

やがて少年は♂(オトコ)の為に自らを殺し 少女は♀(オンナ)の為に自らを殺す
時の荒野を彷徨う罪人達は 其処にどんな楽園を築くのだろうか?

──幾度となく『E』(Elysion)が魅せる幻影 それは失ったはずの『E』(Eden)の面影
嗚呼…その美しき不毛の世界は 幾つの幻想を疾らせてゆくのだろう──
Yield
Yield

『彼女こそ…私のエリスなのだろうか…』

一人娘は せっせと種を蒔く
変わらぬ過去に 訪れぬ未来に

不毛な行為と 君は笑うだろうか?
それなら君は 幸せなんだろうね...

根雪の下で春を待つの 夏が過ぎれば実りの秋ね…

成果...収穫...それは果実を産む
(harvest harvest it yields fruits)
最も遅い収穫…それは甘い果実を産む
(la la, latest harvest it yields sweets)

一夜限りの 情事(ユメ)でも構わない
それをも女は 永遠に出来るから

不毛な恋と 君は笑うだろうか?
やっぱり君は 幸せなんだろうね...

凍える夜は夢を見るの 夏が過ぎれば想いが実る…

結果…収穫…それは果実を産む
(harvest harvest it yields fruits)
最も遅い収穫…それは甘い果実を産む
(la la, latest harvest it yields sweets)

「3」 ...不安定な数字 「3-1」 ...模範的な数式
問題となるのは個の性質ではなく 唯...記号としての数量
世界が安定を求める以上 早くどれか一つを引かなければ…

何故人間(ひと)は恋をする 相応しい季節(とき)に出会えないの?
嗚呼...お父さん(Dad)...お母さん(Mam)

「──それでも私は幸せになりたいのです……」

恋心 甘い果実 真っ赤な果実
(Sweets, lala Sweets, lala 真っ赤なFruits)
もぎ獲れないのなら 刈り取れば良いと...
恋心 甘い果実 真っ赤な果実
(Sweets, lala Sweets, lala 真っ赤なFruits)
嗚呼...でもそれは首じゃないか……

二人の♀(オンナ) 一人の♂(オトコ) 一番不幸なのは誰?
落ちた果実...転がる音 余剰な数字...引かれる音

「3-1+1-2」

──最後に現れたのは『仮面の男』
彼らが消え去った後 荒野に一人取り残されるのは誰──
エルの天秤
エルの天秤

殺人...窃盗...誘拐...密売...

――悪魔に
魂を売り渡すかのように 金になる事なら何でもやった
問うべきは手段では無い その男にとって目的こそが全て
切実な現実 彼には金が必要だった...

傾き続けてゆく天秤 その左皿が沈み切る前に
力づくでも浮き上がらせるだけの金が 右皿には必要だった...
そして...その夜も天秤は仮面を躍らせる……

闇を纏うように 夜の静寂を探り 瞳と瞳を見つめ合って
夢想的(Romantic)な月灯りに そっと唇重ね 息を潜めた...

慌しく通り過ぎる 追っ手達を遣り過ごし 手と手を取り合って
戯曲的(Dramatic)な逃避行に 酔った二つの人生 愛に捧げた...

さよなら... (権力の走狗どもには便利なCard)
さよなら... (娘を売れば至尊への椅子は買える)

身分違いの恋 許されないと知っても ♂と♀は惹かれ合った
嗜虐的(Sadistic)な貴族主義を 蹴って檻を抜け出す 嗚呼それは悲劇...

運命の遊戯盤(Board)の上で 支配力を求めて 生と死は奪い合った
徹底的(Drastic)な追悼劇を 笑う事こそ人生 嗚呼むしろ喜劇...

さよなら (Coinで雇った者が裏切る世の中)
さよなら (他人ならば不条理と責めるは惨め)

楽園への旅路 自由への船出 逃走の果てに辿りついた岸辺
船頭に扮した男が指を鳴らすと 黒衣の影が舟を取り囲んだ……

『お帰りの船賃でしたらご心配なく 既に充分すぎるほど戴いておりますので
けれども彼は ここでさよなら』
『...残念だったね』

「娘さえ無事に戻るならそれで良い 使用人(男)の方など殺しても構わんわ」
一度も眼を合わせずに伯爵はそう言った... 金貨(Coin)の詰まった袋が机(Table)叩いた...

いつも人間は何も知らない方が幸福だろうに
けれど他人を求める限り全てを知りたがる
――何故破滅へと歩みだす?

華やかな婚礼 幸せな花嫁 運命の女神はどんな脚本を好むのか...
虚飾の婚礼 消えた花嫁 破滅の女神はどんな綻びも見逃さない...

嗚呼...燃えるように背中が熱い その男が伸ばした手の先には何かが刺さっていた
嗚呼...緋く染まった手を見つめながら 仮面の男は緩やかに崩れ落ちてゆく...

嗚呼...その背後には娘が立っていた 凄まじい形相で地に臥せた男を凝視していた
嗚呼...一歩後ずさり何か叫びながら 深まりゆく闇の彼方へ走り去ってゆく...

――徐々に薄れゆく意識の水底で 錆び付いた鍵を掴もうと足掻き続ける
扉は目の前にある 急がなければ もうすぐ もうすぐ約束した娘の―――
Sacrifice
Sacrifice

『彼女こそ…私のエリスなのだろうか…』

(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)

無邪気な笑顔が 愛らしい妹は
神に愛されたから 生まれつき幸福だった

一人では何も 出来ない可愛い天使
誰からも愛される 彼女が妬ましかった

器量の悪い私を 憐れみないでよ…

「──惨めな思いにさせる、妹(あの子)なんて死んじゃえば良いのに...」

(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)

あくる日妹は 高熱を出して寝込んだ
ごめんなさい神様 あの願いは嘘なんです

懺悔が届いたのか やがて熱は下がった
けれど今度は母が 病の淵に倒れた

母が今際の時に遺した言葉は…

「──妹(あの子)は他人とは違うから、お姉ちゃん(あなた)が助けてあげてね...」

(Sacrifice, Sacrifice, ah...Sacrifice, Sacrifice, ah...)

母が亡くなって 暮らしにも変化が訪れ
生きる為に私は 朝な夕な働いた

村の男達は 優しくしてくれたけど
村の女達は 次第に冷たくなっていった

貧しい暮らしだったけど 温もりがあった…
「──肩を寄せ合い生きてた、それなりに幸福だった...」

それなのにどうして...こんな残酷な仕打ちを...教えて神様!
妹(あの子)が授かった子は 主が遣わし給うた 神の御子ではないのでしょうか?

──妹が子供を身篭っていることが発覚した夜
村の男達は互いに顔を見合わせ口を噤んだ
重い静寂を引き裂いたのは耳を疑うような派手な打音
仕立屋の若女将が妹の頬を張り飛ばした音…

泥棒猫…可哀想な子だと…世話を焼いて…恩知らず…

──断片的な記憶…断罪的な罵声…
嗚呼...この女(ひと)は何を喚いているんだろう? 気持ち悪い
ぐらりと世界が揺れ 私は弾け飛ぶように若女将に掴みかかっていた…

緋く染まった視界 苦い土と錆びの味 頭上を飛び交う口論 神父様の怒声

純潔の…悪魔の契り…災いの種…マリア様の…誰もガブリエルを…火炙りだ

「嗚呼…悪魔とはお前達のことだ!」

──そして...妹は最後に「ありがとう」と言った…

心無い言葉 心無い仕打ちが どれ程あの娘を傷付けただろう
それでも全てを...優しい娘だから...全てを赦すのでしょうね...

「でも、私は絶対赦さないからね…」

「この世は所詮、楽園の代用品でしかないのなら、罪深きモノは全て、等しく灰に帰るが良い!」

──裸足の娘 凍りつくような微笑を浮かべ
揺らめく焔 その闇の向こうに『仮面の男』を見ていた──
エルの絵本【笛吹き男とパレード】
エルの絵本【笛吹き男とパレード】

そのパレードは何処からやって来たのだろうか…

嗚呼...そのパレードは何処までも続いてゆく...

『おぉ友よ!罪も無き囚人達よ!
我らはこの世界という鎖から解き放たれた。
来る者は拒まないが、去る者は決して赦さない。
黄昏の葬列…楽園パレードへようこそ!』

パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
先頭で仮面の男が笛を吹く → 沈む夕陽に背を向けて
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
男の肩に座った少女が歌う → その笛の音に合わせて

心に深い傷を負った者にとって 抗えない魔性の音...

『やぁ友よ!幸薄き隣人達よ!
我らはこの世界という鎖から解き放たれた。
来る者は拒まないが、去る者は決して赦さない。
仮初めの終焉…楽園パレードへようこそ!』

パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
燃えるような紅い髪の女が踊る → 沈む夕陽を背に受けて
パレードは何処までも続いてゆく → 世界の果てを目指して
《気味が悪い(グロい)》首吊り道化師の刺青(Tatoo)が笑う → あの笛の音に合わせて

心に深い闇を飼った者にとって 逆らえない魔性の音...

笛の音に誘われ 一人また一人列に並んでゆく
やがてそのパレードは 夕陽を遮って地平線を埋め尽くす...

喩えば、箱舟を信じた少女…
喩えば、歪んだ真珠の乙女…
喩えば、収穫を誤った娘…
喩えば、妹を犠牲にされた姉…
喩えば、星屑に踊らされた女…
誰も仮面の男ABYSSからは逃げられない…

『ご機嫌よう、可哀相なお嬢さん。楽園パレードへようこそ!』

笛の音を操って 一人また一人列に加えてゆく
やがてそのパレードは 夕陽を裏切って地平線を灼き尽くす……

嗚呼...そのパレードは何処までも続いてゆく...

そのパレードは何処へ向かってゆくのだろうか…
StarDust
StarDust

『彼女こそ…私のエリスなのだろうか…』

お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ……
――StarDust

女は物言わぬ 可愛いだけの≪お人形≫(Doll)じゃないわ
――愛しい貴方解って?

ちっぽけな自尊心(もの) 満たす為の道具じゃないわ
――月夜の≪別人格≫(Another)は勝手?

首を絞めれば 締まるに決まってるじゃない
――月(Luna)が貴方を狂わせたの?

だってしょうがないじゃない 愛してしまったんだもの
――星(Stella)が私を狂わせたのは何故?

真っ赤な衣装(Dress) 真っ赤な洋靴(Heel) 真っ赤な口紅(Rouge) 真っ赤な薔薇(Rose)
すれ違う男達 誰もが振り返る...
左手には花束 右手には約束を 疾りだした衝動は もう止まらない…

お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ...
貴方の白い衣装(Shirt)も 今は鮮やかな深紅(Scarlet)
お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ...

『…屑でも構わないわ、いつか星になれるなら!
 …輝いてる?ねえ、私輝いてる?』

『綺麗な星空ね』...それは艶やかな女の溜め息
『君の方が綺麗だよ』...それは甘い男の囁き
夜空を見上げる恋人達 ありふれた風景
繰り返される恋模様 ほんの些細なこと

そんな気紛れなひと時を 永遠だと信じたりして
そんな不確かなものを 運命だと信じたりして
泣いたり 笑ったり 愛したり 憎んだりして
その束の間 遥か過去の光に想いを馳せたりして

あの星々はもう滅んでしまっているのだろうか?
それとも今もまだ滅びに向かって輝き続けているのだろうか?
光年という名の途方もない尺度の前では
人の一生など刹那の幻に過ぎないのかもしれない...

――そんな些細なこと されど偶然とはいえ
嗚呼...偶然とはいえ彼女は見てしまった
お揃いの白い服を着て幸せそうに寄り添い歩く
彼と見知らぬ女の姿を……

お揃いね私達 これでお揃いね あぁ幸せ...
貴方の白い衣装(Shirt)も 今は―

『……何故?何故なの?何故なのよ―――!!』

酸素に触れた赤は やがて黒に近づき示す
二人はもう永遠に 一つにはなれないという事実を...

凍てついた銀瑠璃の星々 燃上がる滅びの煌きよ
失くした楽園の夢を見る 私を導け≪星屑の幻灯≫(The light of stardust)

――想い出を過去の光として埋葬できない限り
孤独な亡霊は荒野を彷徨い続けるだろう
女の手は悲しい程に短く星屑には届かない
嗚呼...その手を握り返したのは『仮面の男』だった――
エルの楽園[→side:A→]
エルの楽園[→side:A→]

誰かの呼ぶ声が聞こえた  少女はそれで目を覚ます
心地よい風に抱かれて  澄んだ空へと舞い上がる

誰かがね...泣いているの...

それは気の所為かしら?  もう...そういうことじゃないわ
      『そうよ気のせいよね』      『じゃあ風の所為かしら』
楽園で泣くはずないわ   だって楽園なんだもの
      『そうよ泣くはずないわ』     『楽園なんだもの』

何処かでね...泣いているの...

悲しみも苦しみも?    幸せ満ち溢れる世界?
      『そうよここには無いわ』     『そうそれが楽園』
楽園で泣くはずないわ   だって楽園なんだもの
      『そうよ泣かないでね』      『楽園だからこそ』

 本当はね...知っているの... 
『誰かがね...泣いているの...』

第四の地平線 その楽園の正体は…

空は荒れ 木々は枯れて 花は崩れ朽ち果て
腐敗した大地が 闇の底へと落ちてゆく...
エルは生まれ エルは痛み エルは望みの果て
安らぎの眠りを求め 笑顔で堕ちてゆく...

Ark 箱舟に托された願いたちは...
Baroque 歪んだ恋心のままに求め合い...
Yield 理想の収穫を待ち望みながらも...
Sacrifice 多大な犠牲を盲目のうちに払い続け...
StarDust ついには星屑にも手を伸ばすだろう...

挟み込まれた四つの≪楽園≫(EL)に惑わされずに
垂直に堕ちれば其処は≪奈落≫(ABYSS)

何処から来て 何処へ行くの 全ては誰の幻想?(ユメ)
差し出された手に 気付かないままに堕ちてゆく...
エルは倦まれ エルは悼み エルは望みの涯
安らぎの眠りを求め 笑顔で堕ちてゆく...

――退廃(Decadence)へと至る幻想 背徳を紡ぎ続ける恋物語(Romance)
痛みを抱く為に生まれてくる 哀しみ
幾度となく開かれる扉 第四の地平線――
その楽園の名は『ELYSION』またの名を『ABYSS』――
終端の王と異世界の騎士~The Endia&The Knights~
終端の王と異世界の騎士~The Endia&The Knights~

→ 此れは…
終端の王と異世界の騎士達との
壮大な戦いの序曲である……

世界を喰らう≪終端の王≫(Endia)
継ぎ接ぎされた≪偉大な可能性≫(Grandia)
太陽の≪狂詩曲≫(Rhapsodia)騎士の名を呼ぶ……

──忌避すべき終端...王を退ける者...
≪騎士≫(Knights)とは即ち刃である

刻を孕む≪終端の王≫(Endia)
調整された≪偉大な可能性≫ (Grandia)
生命の≪譚詩曲≫(Balladia)騎士の名を呼ぶ……

仮初の空に浮かべた追憶の≪追走曲≫(Canon)
≪地平線を渡る旋律≫(物語)を口吟むのは誰の唇?

──異世界を繋ぐ鍵...騎士を戴く物...
≪門≫(Gate)とは即ち駿馬である

歴史を呑む≪終端の王≫(Endia)
改竄された≪偉大な可能性≫ (Grandia)
運命の≪交響曲≫(Sinfonia)騎士の名を呼ぶ……

争いの調べで躍る円卓の≪円舞曲≫(Waltz)
≪支配権の正統性≫(物語)を振り翳すのは誰の正義か?

点いて往く灯火を...消えて逝く灯火を...
漆黒の≪髪≫(闇)が...緋い≪瞳≫(光)が...黙したまま見送るだけ…
嗚呼...唯...頁(Page)をなぞる様に...≪戯曲≫(Drama)通りに≪役者≫(Doll)は踊り...
残酷な幻想の美しい棘が...仄甘い≪陶酔≫(ユメ)を魅せ…
残酷な幻想の華やかな毒が...仄昏い奈落へと≪観客≫(キミ)を誘う...

願ったこと全てが叶う世界ではない →
だからこそ → 少年は大きく翔たくだろう...
嗚呼...希望も絶望も両手で抱きしめて →
それでこそ → 少年は大きく翔たくだろう...

『嗚呼...どんなに強い向かい風であれ決意という
              『どんなに強い風でも其の 翼を折ることは出来ない!』
          
無限に繰り返す痛みは輪廻の≪輪舞曲≫(Rondo)
≪世界が失った可能性≫(物語)を取り戻すのは誰の剣か?

今...ハジマリの空に浮かべた追悼の≪追走曲≫(Canon)
≪第五の地平線の旋律≫(物語)を口吟むのは≪少年≫(彼)の唇……
緋色の風車~Moulin Rouge~
緋色の風車~Moulin Rouge~

廻る回る≪緋色の風車≫(moulin rouge)綺麗な花を咲かせて
躍る踊る≪血色の風車≫(moulin rouge)綺麗な花を散らせて

小さな掌に乗せた硝子細工...
其の宝石を『幸福』と謳うならば...
其の夜の蛮行は時代にどんな爪痕を遺し...
彼等にはどんな傷痕を残したのか...

運命に翻弄される弱者の立場に嘆いた少年は...
やがて『力』を欲するだろう...
其れは...強大な力から身を守る為の『盾』か?
其れとも...より強大な力でそれをも平らげる『剣』か?

何が起こったのか...良く解らなかった...
泣き叫ぶ≪狂乱の和音≫(luneのharmonie)...灼けた≪屍肉の風味≫(肉のsaveur)...
何が襲ったのか... 良く解らなかったけど...
唯...ひとつ...此処に居ては 危ないと判った...

僕は一番大切な≪宝物≫(モノ)を
持って逃げようと → 君の手を掴んだ……

嗚呼...訳も解らず息を切らせて走っていた二人
欲望が溢れだすままに暴れて奴等は追い掛けてくる……

星屑を辿るように...森へ至る闇に潜んだままで...
訳も解らず息を殺して震えていた二人
絶望が溢れだすことを怖れて強く抱き合っていた──
不意に君の肢体が宙に浮かんだ →
怯え縋るような瞳が ← 逃げ出し僕の背中に灼きついた……

廻る回る≪緋色の風車≫灼けつく≪刻≫を送って
躍る踊る≪血色の風車≫凍える≪瞬間≫を迎えて

嗚呼...もし生まれ変わったら...小さな花を咲かせよう...
ごめんね...次は逃げずに...君の傍で共に散ろう……

moulin rouge...
神々が愛した楽園~Belle Isle~
神々が愛した楽園~Belle Isle~

神話は生まれ...伝説は語られ...歴史は唯記される――

(Belle Isle)

嗚呼...物語は詠うように紡がれ続ける……

死を抱き眠る冥闇(クラヤミ)の水面を渡り揺れる焔...
その灯火を生命と呼ぶなら → 言葉は力と成るでしょう...
何時しか其処に奪う者と奪われる者が生まれた...
たったひとつを天秤に架けて → 争いは廻るでしょう...

故郷を喪った仔らは忘れない...
父の無念も...母の哀しみも...嗚呼...遠き大地を……

少年はやがて剣を取るでしょう...そしてその剣が折れても...
またその仔らへと託すのでしょう...遥かなる≪年月≫(トキ)の祈りを……

(Belle Isle)

平原は荒れ果てて砂漠と化し...海原は立ち上がり大地を呑む...
災厄の根が幾重にも絡み合い...異なる世界を繋ぐ≪門≫(Gate)は開かれる...
敵の憎悪は同情を遥かに凌ぎ...侵略ではなく完全なる破壊を望む...
氷と焔の相容れない宿命(サダメ)のように『神々が愛した楽園』は戦場へと変貌した……

屍を積み上げて ← 土台は築かれる...
脆く儚い現実は...瓦礫の城
亡骸の頂きに ← 平和は咲き誇る...
甘く拙い幻想は...硝子の色

恐怖を差し出ぜば...狂気が降り注ぐ...共存の道を蹴って...
猜疑は爪を研ぎ...正義は牙を剥く...定規を捩じ曲げたまま――いずれ...

少年は白き翼を得るでしょう...そしてその翼が折れても...
またあの空へと詠うのでしょう...愚かなる≪人々≫(タミ)の願いを...
嗚呼...少年は黒き剣を取るでしょう...そしてその剣が折れても...
またその仔らへと託すのでしょう...遥かなる≪年月≫(トキ)の祈りを……

少年は手に『剣』...背に『翼』...瞳に『未来』を――
嗚呼...物語は頁を捲るように紡がれ続ける →
朝と夜の物語
朝と夜の物語

生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語(Roman)…(Laurant)
嗚呼…僕達のこの寂しさは 良く似た色をした≪宝石≫(pierre)
生まれて来る意味 死んで行く意味 君が生きている現在(いま)
11文字の≪伝言≫(message) 幻想物語(Roman) 『第五の地平線』

(Ro—man…嗚呼...其処にロマンは在るのだろうか?)

泣きながら僕達は来る 同じ苦しみを抱き締めて
笑いながら僕達は行く 遙か地平線の向こうへ
廻り合う君の唇に嗚呼…僕の詩を灯そう…≪人生≫(la vie)
いつの日か繋がる≪物語≫(Roman)――

泣きながら僕達は来る 同じ哀しみを抱き締めて
笑いながら僕達は行く 遙か地平線の向こうへ
廻り逢う君の唇に嗚呼…僕の詩を灯そう…≪人生≫(la vie)
僕達が繋がる≪物語≫(Roman)――

生まれて来る朝と 死んで行く夜の物語(Roman)…(Laurant)
嗚呼…僕達のこの刹那さは 良く似た色をした≪美花≫(fleur)

『太陽の風車 月の揺り籠 彷徨える≪焔≫(ひかり)の物語(Roman)
 壊れた人形 骸の男 時を騙る≪幻想≫(やみ)の物語(Roman)』

右腕には菫の姫君…(C'est mademoiselle violette,qu'elle est dans le bras droit.)
そして…(et)
左腕には紫陽花の姫君…(C'est mademoiselle hortensia,qu'elle est dans le bras gauche.)

嗚呼…僕の代わりに廻っておくれ…其の世界には――
僕が生まれてくるに至る物語(Roman)はあるのだろうか?

「さぁ…往っておいで…」
「はい…ご主人様…」(oui, monsieur)

廻り来る生の騒めき…太陽の風車…
廻り行く死の安らぎ…月の揺り篭…

我等は彷徨える 追憶に揺れる≪風車≫(moulin à vent)
廻り行く何の地平にも 詩を灯すでしょう……

此れは――
生まれて来る前に 死んで行く僕(Laurant)の物語(Roman)…(Laurant)
嗚呼…僕達はもう逢えなくても 現在を生きて往く≪憧憬≫(Roman)

――詠い(探し)続けよう → 君が迷わぬように……

『朝と夜(夕刻)』の狭間
『焔』は揺らめき
『宝石』を掴もうと
『腕』を伸ばし
『風車』が廻れば
『星屑』は煌めいて
『天使』が別れし
『美しき』幻想の
『葡萄酒』の陶酔(ゆめ) に
『賢者』も忌避する
『伝言』の真意を
『地平線』は識る

右手に死を 左手に生を
傾かざる冬の天秤…

――さようなら

Ro-man

――ありがとう

「其処にロマンは在るのかしら?」

「其処にロマンは在るのだろうか?」

「其処にロマンは在るのかしら?」

「嘘を吐いているのは誰だ…?」


幾許かの平和と呼ばれる光 其の影には常に悲惨な争いがあった
葬列に参列する者は 皆一様に口数も少なく
雨に濡れながらも 歩み続けるより他にはないのだ……

瞳を閉じて暗闇(闇)に 吐息を重ねる
そっと触れた温かな光は 小さな鼓動
否定接続詞(Mais)で綴じた書物(紙)が 歴史を操る
そっと振れた灼かな光は 誰かの『焔』…

気付けば道程は 常に苦難と共にあった
耐えられぬ痛みなど 何一つ訪れないものさ…

歓びに咽ぶ白い朝 哀しみに嘆く黒い夜
我等が歩んだ此の日々を 生まれる者に繋ごう…
瞳に映した蒼い空 涙を溶かした碧い海
我らが愛した此の世界(場所)を 愛しい者に遺そう……

嗚呼… 朝と夜 は繰り返す 煌めく砂が零れても…
嗚呼… 朝と夜 は繰り返す 愛した花が枯れても…
嗚呼… 朝と夜 は繰り返す 契った指が離れても…
嗚呼… 朝と夜 を繰り返し ≪生命≫(人)は廻り続ける……

美しい『焔』(光)を見た 死を抱く暗闇の地平に
憎しみ廻る世界に 幾つかの『愛の詩』を灯そう…

何れ程夜が永くとも 何れは朝が訪れる――

独りで寂しくないように ≪双児の人形(La poupee)≫を傍らに
小さな棺の揺り籠で 目覚めぬ君を送ろう…
歓びに揺れたのは≪紫色の花≫(Violet) 哀しみに濡れたのは≪水色の花≫(Hortensia)
誰かが綴った此の詩を 生まれぬ君に贈ろう……

歴史が書を創るのか 書が歴史を創るのか
永遠を生きられない以上 全てを識る由もなく
朝と夜の地平を廻る 『第五の旅路』
離れた者が再び繋がる日は 訪れるのだろうか?

懐かしき調べ 其れは誰の唇か──
嗚呼…≪物語≫(Roman)を詩うのは……

(其処にロマンは在るのかしら…?)
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